花京院家の愛玩人形
ほんとやってらンないよネ!?
それから葬儀場にソイツのカミさんどころか子供までやってきて、貧乏だから賠償金はなんとかかんとかって絶賛土下座祭り開催だからネ!?
彼らに罪はないから怒るに怒れないわ、叶との別れを惜しんで涙を流す暇もないわ…
そもそもさ、叶が人形作家を引退して、何年経ってると思ってンだって話だよネ!?
ほんっとやってらンないよネ!?
散々だよネっっっ!?…
とめどなく愚痴を吐き散らかし、優斗は嘆く。
わかるよ。
そりゃ散々だわ。
「引退後も叶様は、その犯人の方と交流がおありでしたの?」
「いや、全然。
会ってもない。
若い才能の芽を摘んだとか言って、私がその一門に毛嫌いされちゃってたからさ。
交流らしい交流と言えば、大御所先生の孫が生まれたって聞いた時に、叶が五月人形を作って送ったコトくらいだケド…ソイツには直接関係ないからねェ」
「忘れた頃に降りかかった災難でしたのね…
幼い要も、さぞお心を痛めたことでしょう」
「要くんはナニも知らないよ。
憶えてない、と言ったほうが正しいカナ?
もちろん現場にはいたし、全てを見聞きしていたけれども」
「え?
まさかそんなことは…」
やけにキッパリと言い切られた優斗の言葉に、紫信は大きな目を瞬かせた。
だって叶が死んだのは、要が6才の時。
幼いとはいえ、全く記憶にないなんてコトは…
「彼は、私のコトなんてこれっぽっちも眼中にないくらいの、究極のお母さんっコだったからねェ。
叶が亡くなってひと月くらいは、口からエクトプラズム半分出しっパで揺れてたから。
彼が抱いたピグマリオンさんと一緒に、ユラユラ揺れてたから」