花京院家の愛玩人形
ガキだからって、心配は皆無、とは言い切れないからね。
老人ストーカーも出現しちゃう昨今だからね。
思いもよらない人物が、思いもよらない人物から、思いもよらない理由で付きまとわれちゃったりすることもある、摩訶不思議な世の中ですからね。
だから…
「師匠ー!」
「ご主人様ァァァ!」
なんて、タケルよりも迷惑千万な大声を上げて図書館に入ってきた、全身からチャラさが滲み出る金髪イケメンと、睫毛バサバサ今時メイクのカワイイ女子を見た要が…
「こんなトコまで着いてくるか?
あのストーカー共…」
と、嫌悪感剥き出しでボソっと呟いたとしても、特に驚くべきことではない。
うん、そう。
驚くべきことでは…
ほんとに、ない?
「お久しぶりですわね、コージ様」
鼻に皺を寄せる要とは対照的に、紫信は愛想よく微笑んで会釈した。
そうだ、騒がしい乱入者の一人は、コージだ。
じゃ、もう一人は?
コージの隣に視線を移した紫信が、白い手を頬に当ててコトンと小首を傾げる。
「それと…あの‥‥‥ メイド…様?」
…
いやいや、わかるケドも。
ついさっき、『ご主人様』からの『メイド』で誤解が生じたばっかりだ ケ ド も!