花京院家の愛玩人形

「あんまりだわ、ご主人様!
こんなにお慕いしてるのにィィィ!」


と、嘘泣きしてみせるユイ。


「ハハハ、当然っスよね、師匠!
紫信姐サンへの崇高な愛に生きる師匠にとっちゃ、コイツも含め他の女なんて奴隷どころか虫ケラ同然っスよね!」


と、横から参戦してきたコージ。


「紫信に妙な敬称つけないで。
てか、紫信に絡まないで。
僕は君の師匠になった覚えもないケド」


と、ますます無表情になり、もはや人形と化した要。


「えー?
そんなつれないコト言わねェで、俺の知らない真実の愛を教えてクダサイよー。
減るモンじゃないでショー?」


「減るわよ!
アンタみたいなチャラい男にまとわりつかれたら、ご主人様のクールでシャープでノーブルな気品が損なわれるわよ!
大体、ご主人様の前じゃ、アンタこそ虫ケラ同然じゃない!」


「うるさい、黙れ、虫ケラ共」


「そりゃ酷ェっスわ、師匠ー」


「酷ォい、ご主人様ァ!
虫ケラってもっと言ってェェェ!!」


「「‥‥‥ドM…」」


図書館中の非難の目に晒される迷惑な高校生三人組を、紫信は要の後ろからコッソリ眺めていた。

はじめは恐る恐る。
徐々に楽しげに。

そして、ふふっと愛らしい笑みを漏らす。

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