花京院家の愛玩人形

どーすンの?コレ。

頭がアレな弟子も、頭がアレな奴隷も、ご免被りたいンですケド。

この先卒業までストーカー被害に悩まされ続けるとか、心からご免被りたいンですケド。

でも、可愛い紫信の願いは、なんだって叶えてやりたい。

てか、叶える義務がある。

つまり…

どーすりゃイイの?コレ。

紫信は心配そうな表情でコチラを見上げている。

辞めるのをやめるにしても、頭がアレな二人との問題を孕んだ関係について、憂慮しているのだろう。

頭がアレな二人は喋るのをやめ、なんだかワクテカ顔でコチラを見つめている。

変わりそうな流れを敏感に察知し、成り行きを見守っているのだろう。

夏の名残の強い陽射しに、吐き気を覚える。

アスファルトの照り返しによる熱気で、足元がふらつく。

普段あまりかかない汗が全身から吹き出し、肌にジットリと絡みつく。

だが、耐えろ。
覚悟を決めろ。

愛の献身と身の安全。

天秤にかけるまでもなく、どちらが重いかは歴然だ。


「あー…
大丈夫だから。
彼らは… ウググ… 彼ら、は…
シタシイ・ユウジン・ダカラ」


大きな手で顔を覆って眩暈を堪えた要は、紫信を安心させるための言葉を喉から絞り出した。

最後、からくり人形になってンじゃん。

全く…
男はツライよ。

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