花京院家の愛玩人形
あぁ、心配で胸が張り裂けそう。
捜しに行くべきか?
だが、入れ違いになってしまったら…
「師匠、師匠。
貧乏揺すり」
白く煙って視界が悪い窓の外を、それでも目を見開いてガン見する要に、コージがニヤニヤしながら言った。
これは失礼。
地震レベルでガタガタやっちゃってたネ。
「きっと大丈夫っスよー。
ドッカで雨宿りとか、なんか考えてますって」
無言で膝を押さえる要から目を逸らし、コージも窓の外に視線を向ける。
「紫信サンはたぶん、師匠が思ってるよりシッカリしてますよ?」
「…
ナニを根拠に」
「だって俺、あの人の最終防御形態見てますもん。
師匠への愛故に流されなかったってのが大前提とはいえ、それでもあの華麗なスルースキルは、精神的に成熟してなきゃ会得できませんて」
「…」
「まー、ド天然で浮世離れしてるっつーのは、事実ですケドね。
現代事情にはやたら疎いし。
危機感もやたら薄いし」
「…
安心させよーとしてンの?
それとも不安を煽ってンの?」
「んー…
台風で傘が折れた挙げ句にスっ転んでケガ、とかの心配はないってコトっスよ」