花京院家の愛玩人形

台風は心配ない、ね。

なんだか含みのある物言いだよね。


「…
他にナニカ、心配事が?」


軟骨ピアスを指で弄るコージに、要はジロリと鋭い視線を送った。


「いや、わかんねェっスケドー。
確信はないケドー。

師匠、タケルってチビっコのコト、紫信サンからなんか聞いてます?」


「あー…
うん… んん?」


なんか予想外なの、キタ。

要は視線だけではなくキチンと身体ごと隣を向き、長い前髪の奥からコージの顔を覗き込んだ。

聞いてるよ。
そのガキのことは。

最近毎日ココで待ち伏せしてて、紫信に話しかけてくンだってね。

小さな可愛いお友達ができたンだって、彼女、嬉しそうに教えてくれたよ。

ソレが心配事なの?

そりゃ、妬くケド…

いやいや。

あんなガキ、相手にしてないし。
ちょっとモヤっとするだけだし。

そう。
モヤっとするだけで、心配事ってほどでもなくね?

ワケがわからない、といった表情で眉を寄せる要を、コージは上目遣いでチラチラ見上げる。

全く可愛くないが、ソレは今はどーでもイイ。


「なんかー… あのチビっコが紫信サンに聞くコトって、身辺調査臭いンスよねー…」

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