花京院家の愛玩人形
「…
…
…
は?」
押し殺したような低音が、要の薄い唇の間から漏れた。
それを聞き、コージは青ざめた顔の前で勢いよく手を振る。
「いやいやいやいや…
俺に怒ンないで。
てか、そんな気がするなーってだけっスから」
「なんで『そんな気がする』の?
具体的に言って。
てか君、なんで紫信とあのガキの会話の内容を知ってンの?」
「ちょ…ほんと怒ンないでって。
ほら、ちょっと前、美化委員の引継ぎだか何だかがあって、俺だけ先にココに来て紫信サンと二人で師匠とユイを待ってたじゃないっスか」
「あー… あったね、そんなコト。
…で?」
「ヒーっ!? サーセンっ!?
そん時、俺が着いたら、まだあのチビっコがいたンスよ。
今日は母親がパートで遅い日だとか言って。
で、話の内容をちょっと聞いちゃったンス。
まじサーセンっス!
そんなつもりはなかったンス…
って、あれ?コレ、俺が悪いンスかぁぁ???」
言葉自体は穏やかなのに、無駄にドス黒いオーラを放つ要を前に、コージはもはや半泣き。
うん、君はナニも悪くないよ、コージくん。
なんつーか、お疲れ。
「それでですね? グスッ
その内容っつーのが… ウッウッ
根掘り葉掘りっつーか、なんつーか… グスッ」
あーらら、完全に泣いちゃったわコレ。
ほんと、お疲れ。