花京院家の愛玩人形

チンピラにカツアゲされたって、こんな風にはならねェよ?
男のコだもん。

オーラで人を泣かすとか、要くん、アンタいったい何者デスカ。

まぁ、それはさておき。

コージはグズグズと鼻を啜りながら、問題の『内容』について語りはじめた。

図書館に着いた途端にタケルが、


「まさかおまえが紫信のカレシかぁぁぁ!?」


なんて、いきなりコージに絡んできたコト。

慌てて否定すると、


「本当にカレシはいないンだろうな!?」


などと、紫信に詰め寄っていたコト。

それから、この図書館に来るのは平日だけか?とか。

『めいど』の休みはいつだ?とか。

休みの日はナニやってンだ?ダレとドコに行くンだ?とかとか…

紫信を質問攻めにしていたコト。


「まぁ、紫信サンはあーゆー人だから、核心に触れるコトはなんも言わずにスルーして、小学生男子にお薦めの本は『宝島』、なんつって熱心に語ってましたケド。
なんつーか、こう…
デートに誘いたくて空いてる日を聞こうとするのとは、ちょっと違ェかなって。
上手く言えねェケド、なんかヤベェかなって」


「…
あー…うん。
ヤベェかもね」


要は叱られて耳を垂れる子犬のようなコージから目を逸らし、膝に置いた自らの拳に視線を落とした。

参ったな。
そこまでは聞いてなかった。

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