花京院家の愛玩人形
もしも紫信の個人情報を知りたいのが、他の誰かなら。
もしもその誰かが、子供を使って油断させ、紫信本人から知りたい情報を引き出そうとしているのなら。
もしもその誰かが、成人、もしくは自分たちと同程度の年齢なら。
尾行なり監視なり拉致なり、手に入れた情報を充分悪用できるンじゃねーデスカ!?
いやいや、落ち着け。
これはまだ仮説だ。
その『誰か』が実在するなんて決まったワケじゃ…
「あれ?ユイ?
どしたぁぁぁ?」
シュンとしていたコージが不意に、さっきまでとはまるで違う、図書館ではNGな声を張り上げた。
要が反射的に顔を上げると、そこには図書館ではNGな猛スピードで自動ドアに向かって爆走するユイが。
イイ加減、出禁食らうよ?君ら。
けれどユイは気にしない。
迷惑そうな館内中の視線を跳ね退け、出禁上等とばかりにコージよりも声を張り上げる。
「紫信が!!
カッパに襲われてる!!」
「っ!!??」
息を飲んだ要も、椅子を蹴倒して駆け出した。
うん、わかるよ。
こりゃ出禁上等な事件だわ。
でも、ソレっていったいどんな状況?
カッパ?河童???
『誰か』は実在しマシタ☆
しかもまさかのUMAデシタ☆
とか、そんなコトってある?