花京院家の愛玩人形

でもさー…

『アレ』のアレコレ以前に、カッパの中の人が誰なのかすらわかってないのが、現状なのね。

情けないことにね。

だからってさー…

落とし穴作って次の襲撃を待つほどの余裕はないのね。

もう、形振り構わずほんのちょっとの可能性も掘り下げて、カッパの手懸かりを掴みたい心境なのね。

そんなワケでさー…

許してよね。
大人ゲないコトしちゃっても。


「今日の話し相手は僕だから」


ハイ、そんなワケで、こーなった!

台風一過の晴天となったその日、いつも通り図書館にやってきたタケルを待っていたのは、自動ドア横の壁にもたれて腕を組む要だった。

タケルは驚き、思わず身を翻す。

が、エントランスキャノピーの円柱の陰から現れたコージとユイに、退路を断たれてしまい…

って、小学生相手に高校生が挟み撃ちかよ!?

ほんっと大人ゲねーな!?

包囲されるような心当たりはなくとも、デカいのが迫ってくればビビって当然。

タケルは青ざめ、救いを求めて辺りをキョロキョロ見回したが…


「あー…
紫信なら、今日は来ていない」


背中に投げかけられた要のボソボソで、見事撃沈。


「彼女は優しいから、君を甘やかしそうだし。
ちなみに僕は、彼女のように優しくはない」


うん、完膚なきまでに撃沈。

< 198 / 210 >

この作品をシェア

pagetop