花京院家の愛玩人形
でもさー…
『アレ』のアレコレ以前に、カッパの中の人が誰なのかすらわかってないのが、現状なのね。
情けないことにね。
だからってさー…
落とし穴作って次の襲撃を待つほどの余裕はないのね。
もう、形振り構わずほんのちょっとの可能性も掘り下げて、カッパの手懸かりを掴みたい心境なのね。
そんなワケでさー…
許してよね。
大人ゲないコトしちゃっても。
「今日の話し相手は僕だから」
ハイ、そんなワケで、こーなった!
台風一過の晴天となったその日、いつも通り図書館にやってきたタケルを待っていたのは、自動ドア横の壁にもたれて腕を組む要だった。
タケルは驚き、思わず身を翻す。
が、エントランスキャノピーの円柱の陰から現れたコージとユイに、退路を断たれてしまい…
って、小学生相手に高校生が挟み撃ちかよ!?
ほんっと大人ゲねーな!?
包囲されるような心当たりはなくとも、デカいのが迫ってくればビビって当然。
タケルは青ざめ、救いを求めて辺りをキョロキョロ見回したが…
「あー…
紫信なら、今日は来ていない」
背中に投げかけられた要のボソボソで、見事撃沈。
「彼女は優しいから、君を甘やかしそうだし。
ちなみに僕は、彼女のように優しくはない」
うん、完膚なきまでに撃沈。