花京院家の愛玩人形
「そうでしたの…
ご無事でよかったわ…
多大なるご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした、花京院様。
信太郎さんの無法はわたくしが代わって謝罪いたしますから、どうかもうお帰りになって」
安堵の溜め息を吐き出してから、紫乃は床に右手をついて深く頭を下げた。
あー、そーくる?
結局振り出しじゃねーか。
なのに要は…
「よし、帰ろう」
さっきまで拒否一択だった紫乃の提案に、今回はやけにサクっと頷いた。
小さな背中と、今は片方しかない膝裏にサクっと腕を回して。
「え?
なんですの?」
「あー…」
これっぽっちも重みを感じない身体をサクっと抱き上げて。
「きゃ!?
花京院様!?」
「えー…」
やっぱボソボソ言ってっケド。
やっぱ強引だわ。
手ぶらで帰る気皆無じゃねェの、コレ。
「降ろしてくださいませ、花京院様!
いったいなんのおつもりですの!?」
「君を連れて帰るつもりですよ?もちろん」
いきなり抱えられて狼狽する紫乃に、要はシレっとお持ち帰りを宣告した。