花京院家の愛玩人形
…
おいおい、マッパじゃねーか。
長い髪で見えそうで見えない乳首が、なんともエロいじゃねーか。
でも、もうどーでもイイな。
イヤンとかって、恥じらう気にもなれねェな。
それでも淑女の嗜みとして、一応オッパイくらいは隠すべき?
無造作にシーツを掴んで、胸元に…
あれ?
シーツを掴んでる。
ちゃんと両手で、掴んでる。
引っ張り上げて身体を覆うべきシーツを、逆にペロンとめくってみると…
あれぇ?
生えてる。
ちゃんと両足が、揃ってる。
だが、あったはずの継ぎ目は、一つもない…
「うん、記憶もあるし、動けるね。
安心したよ。
最後の目を入れたのが『人形師』じゃない僕だから、ちょっと心配だったンだケド」
「…」
軽く頷いた要を、紫信は表情もなく見つめる。
左の、アッシュがかった黒い瞳。
右の、深く艶のある漆黒の瞳。
至近距離で覗き込めば微かに色味が違うとわかる、二つの瞳で見つめる。
「君は君のまま、人間になったよ。
…
一応は、ね」
「…どうしてですの?」
衝撃の…だけどどこか含みのある発言をした要に、紫信は肌を惜しげもなく晒したままやはり表情もなく訊ねた。