花京院家の愛玩人形
「あー…
それは問題ナイ」
顔を出したカワイイ乳首をやはり気にするコトなく、要は答える。
「触れて汚せと言わんばかりの白い柔肌も。
そのクセ、雑に触れれば壊れそうな華奢な身体も。
目が離せなくなるとわかっていながら、それでも見つめずにはいられない大きな澄んだ瞳も。
君の全ては愛の受け皿だ」
大きな手を伸ばして。
折れそうな鎖骨をなぞって。
「人形のままだろうと、人間になろうと。
やっぱり君は人に愛でられるためだけに人の手によって作り出された、神秘の存在なンだよ」
以前は触れられなかった滑らかな髪に指を絡め、細い肩から背に流して…
「自分に似せて創ったというアダムが君のようだったら、神はいったいどうしただろうね?
愛さずにはいられなくて。
追放なんて、とてもできなくて…
そうなるともう、創造物こそが創造主の神だ」
要は、乳首どころか何もかもを晒した美しくも儚い模造品に腕を回し、そっと胸に包み込んだ。
「綺麗な綺麗な紫信、僕は恋に落ちたままだ。
今も君に夢中なままだ。
お気に召さないのは、君に名前をつけたのも、君の最後の目になったのも、あのDV中年だってコトくらいかな」
「なんですって?」
イイ雰囲気だったンですケドね。
砂吐くような愛の告白だったンですケドね。
紫信が食いついたのは、ハイ、ココ。
「わたくしの、この右目は…
信太郎さんの目なンですの?」