花京院家の愛玩人形

「きゃ!?
ナニをなさいますの!?」


「ナニって… 風呂だケド。
僕がキレイに洗ってあげるから。
その後、朝食にしよう。
僕が作るから」


「まぁ、ありがとうござ…
えっ!?
洗う!?要がわたくしを!?
つつつまり一緒に浴室に!?」


「そう。
嫌なら、断ってくれて構わないケド」


「そんな… 嫌というワケでは…
でもでも、あのあの…///」


「あ、そう? 嫌じゃない?
じゃ、行こう」


「えぇっ!? お待ちになって!?
わたくし、確かに嫌とは申しておりませんけれども、その…だからと言って…」


「うん、嫌とは申してないンでショ?
行こう」


「えぇぇっ!?
お…お待ちになってェェェェェ!?」


ハイ、お待ちになってはもらえませんデシタ。

家の半地下にある工房から担ぎ出され、ジャグジーがついた広く開放的な浴室に連れ込まれたリンゴは、頭から爪先まで丁寧に洗われる羽目になった。

『イヤ』とは言ってないケド。
『イイ』とも言ってないンだケドな。

日本語って、難しいな。

ん?
誰かサンが強引なだけだろって?

んー… そうとも言うかな。

まぁ、いいンじゃん?
かーなり深い仲になったワケだからさ。

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