花京院家の愛玩人形

風呂場についての記述を読んで、おや?っと思ったソコのアナタ。

そーなンスよ。

花京院家は、豪邸とは言えないまでもそこそこ広かった。

部屋数はさほどではないようだが、なにしろ一室一室が広い。

アンティークな鉄のガーデンテーブルセットが置かれた、色とりどりの花が咲き乱れる庭も広い。

深く落ち着きのある色調のファブリックとか。
木製フレームの大きな窓とか。
テラコッタタイルを床材としたリビングの一角にある、大きな黒い薪ストーブとか…

ハイ、お察し。

欧風です。
イングリッシュカントリースタイルです。

クラシカルで、エレガントで、そしてなんだか生活感がない…


「花きょ…要はコチラに、一人で住んでおられるンですの?
ご家族はドチラに?」


ダイニングチェアに腰掛けた紫信が、トロリと溶けたチーズが乗ったバケットを手に取って訊ねた。

バスタイムは終了しマシタ。

朝食中デス。

だからもう、リンゴだったりシーツミノムシだったりしませんよ?

袖にはフリル、襟元にはリボンがついた、白のハイネックブラウスを着て。

紺のミモレ丈フレアスカートを履いて。

髪はいつも通り、両サイドをラフに捻ったハーフアップにして。

紫信は要が用意していた清楚系ご令嬢ファッションになっていた。

彼もいつも、白いシャツを着ていたし…

そーゆーのがお好きなンデスネ。
ワカリマス。

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