花京院家の愛玩人形
なーんもわかってないな、この可愛いお人形さんは。
全力で好きって伝えてるのにさ。
や───っと手に入れたってのにさ。
今更放流する気なんか、ないに決まってンじゃん?
だから…
「あのねー…」
ダイニングテーブルに頬杖をつき、俯いてしまった紫信を見つめて要は言う。
「君がヤだって言うなら、話は別だけど。
そうじゃないなら、僕と一緒にココにいればイイじゃない。
むしろ一緒にいてクダサイ。
ナニか問題ある?」
「いえ… でも…」
上目遣いの潤んだ瞳を、長い前髪の隙間からジーっと見つめて要は言う。
「だからと言って、君を閉じ込めておくつもりはないから。
行きたい場所があれば、僕が連れてくから。
したいコトがあれば、僕も応援するから。
ナニか問題ある?」
「いえ… あの…
…ございませんわ…」
「でショ?
なんの問題もないでショ?」
ハイ、押し切ったー
でも、ね?
「でも、ね?
実は…
別の点で、大いなる問題が発生した…」
攻めの姿勢から一転、要は頬杖をついていた手でそのまま頭を抱えて項垂れた。