花京院家の愛玩人形

「先程要は、わたくしにしたいコトがあるなら応援する、と仰ってくださいましたわ」


「もちろんだ。
全力で応援するとも」


「ならば、わたくしを要のお役に立ててくださいませ」


「…」


「何もせずにただただ与えられているだけなんて、今までと変わりありませんもの。
誰かのために、自分のために、わたくしに出来るコトがあるのなら、なんでもやってみたいのですわ」


「…」


「…
いけませんかしら?」


眉をハの字にして。
大きなタレ目を潤ませて。
コトンと小首を傾げる、その仕草…

ハイ、まさに『だめぇ?』。

ナニソレ、あざとい。

いや、わかっている。
彼女のソレは女の戦略ではない。

愛されることだけを目的として生まれた存在故の、100%天然物だ。


「よし。
僕のお役に立ってクダサイ、是非とも」


苦悩はいったいドコへやら。
要はアッサリ意見を翻して力強く頷いた。

ナニソレ、チョロい。

でも、しょーがねーよ。

だって彼女、可愛すぎだし。
可愛すぎて、好きすぎて、全てに於いて彼女が正義ってカンジだし。

コレがきっと、盲愛ってヤツ。

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