きみに、好きと言える日まで。


「え……?」



助けを求めるには、これしかなかった。



「ごめん。あたし、自力で下りるのは無理だと思う」



転落の衝撃で、足の症状は更に悪化していた。


どう考えても自力で下山するのは無理。


耀くんは、全体重を預けたとしてもあたしを支えてくれるのが目に見えたから。



そんな負担、耀くんには掛けられない。

だから正直に下山できないと話した。



「耀くんは下山して先生を……」

「まひをひとりには出来ない」



雨にぬれた耀くんの手が、小刻みに震えるあたしの肩を掴む。


歪んだ顔の頬からは、雨が滴り落ちた。


その低い声に、あたしは静かに首を振った。



「ここにふたりでいても、誰も助けには来てくれないよ?だから――」

「それでも置いて行けない!」

「耀くん!」



そう言ってくれるのは嬉しいけど。



お願い、耀くん。

今は冷静な判断をして……?


雫が滴り合う互いの顔を見つめあい

真剣に耀くんに訴えかける。



耀くんは、苦しそうに決断した。

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