きみに、好きと言える日まで。


しばらく行くと、本当に小屋があった。


扉は簡単に開く。



「いざって時の、避難所なのかもしれないな」



中は10畳くらいの小さなスペースで、毛布やろうそく、懐中電灯など非常用具があった。


耀くんは毛布を敷くと『この上に座れ』そう言って、また別の毛布をあたしの上から掛けてくれた。


最後にロウソクに火を灯す。



「こんなの気休めかも知んねーけど」

「大丈夫、あったかい」



一番あったかいのは、耀くんの気持ち。



「本当にひとりで大丈夫か?」

「大丈夫」

「じゃあ……俺、行ってくるな」

「耀くん、足元滑るから気をつけてね」

「まひに言われたくない」

「ふふっ」



耀くんが、ゆっくりあたしから手を離す。



「寒くないようにしてろよ?」

「ありがとう……お願いします」

「おぅ。後でな」


< 104 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop