きみに、好きと言える日まで。
しばらく行くと、本当に小屋があった。
扉は簡単に開く。
「いざって時の、避難所なのかもしれないな」
中は10畳くらいの小さなスペースで、毛布やろうそく、懐中電灯など非常用具があった。
耀くんは毛布を敷くと『この上に座れ』そう言って、また別の毛布をあたしの上から掛けてくれた。
最後にロウソクに火を灯す。
「こんなの気休めかも知んねーけど」
「大丈夫、あったかい」
一番あったかいのは、耀くんの気持ち。
「本当にひとりで大丈夫か?」
「大丈夫」
「じゃあ……俺、行ってくるな」
「耀くん、足元滑るから気をつけてね」
「まひに言われたくない」
「ふふっ」
耀くんが、ゆっくりあたしから手を離す。
「寒くないようにしてろよ?」
「ありがとう……お願いします」
「おぅ。後でな」