きみに、好きと言える日まで。

パタン。

ドアは閉まった。


毛布にくるまれているのに、耀くんが出て行った途端、寒さに震えた。


一本のろうそくに灯された火は、なんだか怖い。


ガタガタと、風で窓ガラスが音を立てる度にビクッとした。


林道を通って途中まで車で迎えが来るとして、それは耀くんが下山してからを考えると、2時間はかかるかもしれない。


……はぁ……まだ10分しか経ってない。


ひとりで待つ2時間は、気が遠くなるほど長い時間に思えた。


眠っちゃえば時間が早く経つと思ったけど、足は痛いし寒いし、それどころじゃなかった。


おやつに持ってきていたチョコレートを、一つぶ口に入れた。



寒さに襲われて、肩に掛けた毛布を更に密着させる。


それでも、寒さは収まらない。


相変わらず外では風がゴーゴー吹いていて、1つだけある窓はずっとカタカタ不気味な音をならしていた。



怖いよ。

耀くん……。


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