きみに、好きと言える日まで。


「火、消えちゃったな」



気まずそうにあたしの前から離れて、耀くんが新しいろうそくに火を灯した。


その背中が、すごく罪悪感を背負っているように見えた。


あたしに、キスしたこと……。



キスの直前に言われた、ニブイって言葉を思い出す。




あっ……。

さっきの話……。


もしかして、昔話のヨタロウは耀くんで

マヨルは……あたし?




ハッ……として、耀くんを見つめる。



……今頃気づいたあたしって、なんて馬鹿なんだろう……。


耀くんの言う通り、ニブすぎるよね。



「耀くんっ……あたし」



言わなきゃ。



"好き"


あたしも耀くんのことずっと見てたっ……て。



耀くんが昔話に乗せて勇気を出してくれたように、今ここで言わないとこの距離は変わらない。


もう、耀くんからは言ってくれない。


そんな気がしたから。



「あたしっ……」



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