きみに、好きと言える日まで。
「……まひ……だったのか……?」
俺達は、出会っていたんだ。
テニスコートから注がれるまひの視線に、俺はいつも嫉妬していた。
誰かを恋しがるような、視線の先の相手に。
……それは、俺?
いつものまひの視線は。
俺を探してたのか……?
胸が震える。
「無事に跳んで欲しいって。これはそういうお守りだから」
「……まひ」
「耀くんが空を舞う姿が、ただ見たいだけなの……」
許されるなら抱き締めたかった。
抱きしめてキスしたかった。
――その代わり。
「跳ぶよ」
「え?」
「俺が跳ぶ意味、今分かったから」
ずっと心の中にあった迷いが、全て吹っ切れた。
怖かったんだ、本当は。
期待もプレッシャーもはねのけて挑んでも。
大会に出れば"あの八神"だと言われる。
負けたくないって思う。
闘志が剥き出しになって、ハイジャンのことしか考えられなくなる自分が、怖かった。
そんなものを、一瞬で溶かしてしまった。
まひの言葉が。
「だから」
「…………」
「見ててくれ」
「…………」
「ちゃんと、見ててくれ」
俺が跳ぶ意味は。
確かにあった。
こんなにも
俺の側に……。
誰かの為に跳びたいなんて思ったのは
初めてだったんだ。