きみに、好きと言える日まで。


テニス部が集まっている金網の向こうでは、みんながストレッチを始めていた。


急がないと。


陸上部を振り返ることなく、テニスコートへ向かおうとすると、



「まひろちゃん」



誰かに肩を叩かれた



…………?

おかげで、向かないはずだった後ろを反射的に振り返ってしまう。


そこには。


ジャージ姿の先輩。

どこかで見た笑顔。



「えっと……」

「こんにちは!」

「あっ!」



陸上部マネージャーの、千夏先輩だった。



「こんにちは……」



会うのは、耀くんと優飛ちゃんと一緒にいたあの日以来。

あたしを覚えていたことにちょっと驚く。



「今、ちょっといいかな?」

「あたし……ですか……?」



陸上部のマネージャーさんがあたしに一体……。


昇降口前のベンチへを指され、ドキドキしながら後をついて行った。


千夏先輩がベンチに腰を下ろしたから、あたしも隣に座る。



「まひろちゃん、耀太のこと好きでしょ」

「えっ!?……なっ、なにを言うんですか!?」

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