きみに、好きと言える日まで。


価値観を分かちあえる人に出会って、すごく嬉しかった。

ますます千夏先輩に好感を抱く。



「まひろちゃんは知ってる……かな。…耀太、色々あったじゃない」

「………はい」



間接的にだけど……。



「だから大会になるとどーも逃げ腰でさ。いざグラウンドに立ったら怖いもんなしだけど、そこまでのモチベーションがね」



千夏先輩は苦笑いした。


なんとなくわかる。

誰もが憧れる、インターハイを賭けた試合を迷うくらい。

いつもの元気だってなかったし……。



「明日の大会は1日掛かりなんだけどさ、そこでまひろちゃんにお願いがあるのよ」

「……お願い……ですか?」

「まひろちゃんと耀太をくっつける作戦も兼ねてね。お弁当作っちゃおう作戦なんてどお?」

「え?えぇっ!?」

「試合の時って、お昼はお弁当屋さんで一括注文なのよ。でもさ、耀太の奴は偏食でね。まあ味覚が幼児レベルなのよね。それじゃあ力もつかないっつーの」

「…………」

「そこで、まひろちゃんが耀太にお弁当でも作って来てくれたらなーって思うわけよ」



……思うわけよ……って。


ダーッと言われて、何が何だか分からなかった。



「とにかく、まひろちゃんのお弁当でインハイ出場間違いナシ!」

「えっとぉ……」

「ねっ!」

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