きみに、好きと言える日まで。
決戦目前
【耀太】
「なーに耀太。すごいやる気じゃない?」
スポーツドリンクを渡してくるのは、千夏先輩。
イメトレをしながら何本か跳び終えた俺に、声を掛けて来た。
慌ててポケットから手を抜く。
「おつかれッス」
それを受け取って、喉へ流し込んだ。
ポケットの中には、さっきまひから貰ったお守り。
「明日イケそう?」
見透かしたように言う千夏先輩にバツが悪くて、無言のまま空になったボトルを押しつけた。
いつも適当なことばっか言って来るくせに、たまにビシッと的を射ているから不思議だ。
「しっかし耀太に拓弥に、今年の2年はすごいわよね。これ以上緑ヶ浜有名にしてどーすんの。1年の部員が増えちゃって、まとめるの大変なのよ!?」
そんな皮肉を言いながらもすごく嬉しそうだ。
サッカー部へ仮入部した奴が陸上部へ流れ。
アメフト部へ仮入部した奴が陸上部へ流れ。
何に惹かれたのかわかんねぇけど、同じグラウンドで練習してる陸上部に心を奪われたらしい。