きみに、好きと言える日まで。
「何作ってんの?」
「ヤダ来ないで!」
キッチンに入ってくるお姉ちゃんを阻止しようとしたけど。
「わ、お弁当?えー?ピクニックにでも行くわけ?」
当たり前だけど見つかって、当たり前だけど目を丸くされた。
「ん、まあそんなとこ。見てると作れないからあっち行って!」
「手伝ってあげよっか?」
「いーって!」
揚げ物なんかしたことなくて、おっかなビックリ油の海へ鶏肉を落とす。
「わーっ!」
気泡が弾けただけで菜箸を放り投げ、キッチンの片隅へ避難。
「もう。危なっかしくて見てらんないわよ……」
「…………」
「あんたも男のために弁当作る様になるとはね~」
「だからそんなんじゃないって!」
「苦しい言い訳はしないしない」
そう言いながら腕まくりをして、油の中で泳ぐ鶏肉を菜箸で転がし始めるのはお姉ちゃん。
「揚げ物してるときは、傍から離れちゃだめなのよ?」
「………はい」