きみに、好きと言える日まで。
競技場の前まで着くと、千夏先輩を発見した。
腕時計をチラチラ見ながら誰かが来るのを待っている様子。
「おはようございます!」
「あっ、まひろちゃんっ……」
声を掛けると、緊迫した声で返された。
いつもと感じの違う千夏先輩。
「どうかしました?」
「それがね、耀太がまだ来ないの。待ち合わせの駅にも姿を見せなくて、先に来たんだけどまだ……」
「えっ!?」
千夏先輩の言葉に胸がざわつく。
耀くんがまだ来ていない……?
そんなこと。
携帯で時間をチェックすると、聞いていた陸上部の到着時刻をかなり過ぎていた。
放課後、練習にはいつも一番に飛び出す耀くん。
こんな大事な大会の日に遅刻なんてあり得ない。