きみに、好きと言える日まで。


「あたし電話してみます!」



慌てて携帯を取り出して耀くんの番号を押す。



「それがさっきから何度も掛けてるんだけど、繋がらないの」



"お客様のおかけになった番号は……"


千夏先輩の言う通り、あたしの耳には電源が入っていないというメッセージが流れた。




……どうしたの。

耀くん――



「まひろちゃんは……何も聞いてないのよね……」

「はい……」

「取り敢えず……顧問に報告してくるわ」

「あたしも行きますっ!」



恐らく部外者は立ち入り禁止のフィールド。

あたしは構わず千夏先輩の後を追った。


そこには、本番を前にアップに余念がない選手が沢山いた。


千夏先輩が顧問の澤井先生に何かを告げると、澤井先生は難しい顔をして腕組みをする。



遠くには、本番さながらハイジャンを跳ぶ選手も……。


その中に、耀くんがいない。

< 155 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop