きみに、好きと言える日まで。
「まひろ!」
上から声が掛かり見上げると、ちょうど真後ろに位置するスタンドの最前線に凛ちゃんがいた。
身を乗り出して、あたしに手を振っている。
「凛ちゃんっ!」
「耀太が来てないって大騒ぎになってるけど、まひろ何か聞いてる!?」
あたしは首を横に振った。
「耀太の奴どうしたんだろ。まさか怖くなって逃げたとか」
「そんなっ……」
絶対にそれだけはないと、あたしは凛ちゃんのいる真下まで駆け寄った。
そんなの、一生懸命頑張ってる耀くんに対して失礼だよ。
けど……。
「ないとも言えないよ。あの出来事を傍で見て来たあたしには、その可能性は捨てられない」
そんなことを真顔で言われて、あたしの不安は一層募る。
あたしはその時の耀くんを知らない。
まさか、凛ちゃんの言うようにインターハイっていう、夢の様な舞台を目前にして、あのときの恐怖が蘇って……。