きみに、好きと言える日まで。


「あのっ、……八神くんに何かあったんですか?」



まだ耀くんに関することかどうかも分からないのに、あたしはふたりの間に割り込んだ。


本多先生は一度あたしを見たけど、何も言わずに澤井先生に話を続けた。



「病院へは私が向かいます。他の生徒には、試合が終わるまで言わない方が……」



……病院!?


すぐに千夏先輩が呼ばれ、本多先生から何やら説明を受ける。


千夏先輩の顔も、澤井先生と同じように一瞬にして曇った。



「千夏先輩っ!」

「ま、まひろちゃん……」

「耀くんがどうかしたんですか!?」

「…………」



目を伏せ、顔を歪めるその表情に、予感は確信へと変わり体中が震えだす。



「千夏!早くしろ!」



本多先生の声に千夏先輩は我に返り顔をあげると、あたしを避けるように駆けだした。



「千夏先輩!!」



駐車場へ走りだすふたりの後を、懸命に追いかける。

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