きみに、好きと言える日まで。

風になれ



【耀太】





「位置について───」



白線の手前。

クラウチングスタートの構え。




必ず……

この1年の成果を出してやる。



「よーい」



飛び出す方向だけを真っすぐに見て。


高く腰をあげた。



"───パンッ"



今度は


風になれっ……




……白線というゴールを、ただ目指して。





「───っ…!」



そこへ飛び込むようにして、駆け抜けた100メートル。



「……ハァッ……ハァッ……」



転がる様にして倒れ込んだ。




今ある俺の力、全てを出しきった。


俺は陸上部、短距離界のエース……



「耀太は相変わらずタイムが伸びないわね」



……でもなんでもない。


< 16 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop