きみに、好きと言える日まで。
風になれ
【耀太】
「位置について───」
白線の手前。
クラウチングスタートの構え。
必ず……
この1年の成果を出してやる。
「よーい」
飛び出す方向だけを真っすぐに見て。
高く腰をあげた。
"───パンッ"
今度は
風になれっ……
……白線というゴールを、ただ目指して。
「───っ…!」
そこへ飛び込むようにして、駆け抜けた100メートル。
「……ハァッ……ハァッ……」
転がる様にして倒れ込んだ。
今ある俺の力、全てを出しきった。
俺は陸上部、短距離界のエース……
「耀太は相変わらずタイムが伸びないわね」
……でもなんでもない。