きみに、好きと言える日まで。
冷静に辺りを見渡して。
ここがどこなのか、分かった。
この匂いも、この音も。
現実のものなんだ……って。
「お……俺……ど……して……事故に……」
覚えてない。
ぽっかり切り取られたように、そこだけ不思議と真っ白い俺の記憶。
「うっ……」
頭に激痛が走った。
「耀太、無理に思いだそうとするな。強く頭を打っているせいで、記憶の一部が欠落しているんだ。ゆっくり……思い出せばいい」
親父の目も潤んでいた。
頭を打ったのか……。
一部記憶がないにしても、家族のことは分かる。
……記憶喪失になったわけじゃないんだな。
それでも。
どうしても思い出さなくちゃいけないことがあるような気がして、モヤモヤする。
何か……大事なことを……。