きみに、好きと言える日まで。
「これじゃ17歳男子の平均。それでも陸上部?」
……うるせぇ。
「もうすぐ新入生も入ってくるのに、どうにかしなきゃね」
……余計なお世話だ。
ストップウォッチを持ったマネの千夏先輩が、俺の真上で笑ってる。
……笑い事かよ。
言いたいことだけ言いやがって。
「クソッ……」
俺だって一生懸命やってんだよ。
「今に見てろっ」
掴んだグラウンドの砂を、千夏先輩の足に投げつけた。
「うわっ、やめなさいよ!!」
千夏先輩は飛び跳ねながら砂をよけると
「……ねぇ耀太。長距離に転向も考えてみない?そっちの方が伸びると思うわよ?」
「……」
「または……」
言葉を溜めた後、少し気まずそうに視線を合わせた。
その口が再び開く寸前、
「先輩は、その減らず口をどうにかした方がいいんじゃないっすか」
その先なんて言わせねぇ。
嫌味を一発お見舞いすると、俺はスタートラインまで駆けて戻った。