きみに、好きと言える日まで。
「まひ乗せてる時じゃなくてよかった」
耀くんが言う。
「ん……?」
「自転車でコケたの」
「あ……」
「笑い話だよな。スピードの出しすぎで突っ込むとか」
そして「バカだよなー」って笑いながら頭をかく。
「…………」
でも、あたしは笑えなかった。
「だって、車とぶつかるのを避けるためにそうなったなら仕方ないよ。耀くんの判断は正しかったんだよ」
車と接触してたことを考えると、恐ろしかった。
不破鉄鋼に突っ込んで、五体満足でいられたのも奇跡。
それでも2日も生死をさまよった。
あたし、生きた心地がしなかったんだから。
「ちょっと過剰防衛だったのかもな。まぁ……事故の前後のことはあんまり覚えてないから、なんとも言えねーけど……。
あ、俺って救急車乗ったの2回目。なのにどっちも乗った記憶ねーの。ははっ」
「だから笑いごとじゃないってば!」
それでも笑えない事実を面白おかしく話す耀くんに、あたしは呆れながら布団の上をパンと叩いた。
まったくもう……。