きみに、好きと言える日まで。
それでも笑顔を絶やさない耀くんに、生きてる証拠なんだと心の中でホッとしながら、肝心なことを聞いた。
「そういえば、あの日どうして学校へなんて寄ったの?」
耀くんは大会の朝、学校へ向かっていて事故に遭った。
集合場所は競技場だったのに。
ずっと気になっていたんだ。
「ん?ああ……ちょっとな」
途端に歯切れが悪くなる。
「ちょっとって?」
「ちょっとはちょっとだよ」
「そういう言い方されると、余計に気になるよ」
「おっ?俺に興味持ってくれた?……まぁ、ちょっとした忘れモンだ」
おどけたように言った後、耀くんは洋菓子の箱に手を伸ばした。
「おっ、うまそー」
中を見ると、目が輝いた。
それはあたしが持ってきたお見舞いのお菓子。
「日持ちする方がいいと思って焼き菓子にしたの。甘いもの、食べられる?」
話を逸らされた気がするけど、まあいいや。
あたしは箱の口を更に広げた。