きみに、好きと言える日まで。


それでも笑顔を絶やさない耀くんに、生きてる証拠なんだと心の中でホッとしながら、肝心なことを聞いた。



「そういえば、あの日どうして学校へなんて寄ったの?」



耀くんは大会の朝、学校へ向かっていて事故に遭った。

集合場所は競技場だったのに。


ずっと気になっていたんだ。



「ん?ああ……ちょっとな」



途端に歯切れが悪くなる。



「ちょっとって?」

「ちょっとはちょっとだよ」

「そういう言い方されると、余計に気になるよ」

「おっ?俺に興味持ってくれた?……まぁ、ちょっとした忘れモンだ」



おどけたように言った後、耀くんは洋菓子の箱に手を伸ばした。



「おっ、うまそー」



中を見ると、目が輝いた。


それはあたしが持ってきたお見舞いのお菓子。



「日持ちする方がいいと思って焼き菓子にしたの。甘いもの、食べられる?」



話を逸らされた気がするけど、まあいいや。

あたしは箱の口を更に広げた。

< 175 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop