きみに、好きと言える日まで。
「おー、いけるいける」
「良かったあ。どれがいい?」
「じゃあこれ」
耀くんはラスクを指す。
「はいどうぞ」
不自由そうな手を気遣って、代わりに袋を開けて中味を手渡した。
「んー!ウマイウマイ!」
「やだぁ。ボロボロこぼしすぎ」
「左手じゃ食いずらいんだって。じゃあ食わせてよ」
「……っ……」
「マジで戸惑わないでくれる?」
「もうやだっ……耀くんのばかっ……」
「ははっ。まひも食うか?ほらっ」
ふたりの笑い声が病室に響く。
すごい幸せだった。
誰にも邪魔されない
ふたりだけの
秘密の時間。
耀くんがいて
あたしがいる。
すごく、すごく幸せだった……。