きみに、好きと言える日まで。

距離



「うわあっ!!」



病室へ入るなり、ものすごい音が響いた。


インターハイが終わり、100メートルで出場した拓弥くんは、3位という素晴らしい成績を残した。

九州で開催されたから応援には行けなかったけど、テレビにかじりついて応援した。


今日はその祝賀会を耀くんの病室でやろうってことで、みんなで来たんだけど……。



ベッドの上の。

あたしが今、1番会いたいその人が小さな三角形のものを手に持っていて。

どうやら、その先端についている紐を引っぱったみたいで。



「やりぃ!驚いてやんの!」



そ、そりゃあ驚くって……。



「ちょっとぉー!ビックリするじゃな~い」

「用意がいいね~さすが耀太クン!」

「どこで調達してきたわけ?」



耳を塞いだあたしとは違って、更にテンションを上げて中へ入って行く凛ちゃんと拓弥くんと瞬くん。



「ここっ、病院だよっ!」



大丈夫なの?こんな音出して!

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