きみに、好きと言える日まで。



「いい加減諦めなって」

「………うーん…」



……あの出来事があったすぐ後、あたしはテニス部へ入った。


女子がグラウンドで部活が出来るのは、陸上部かテニス部だけ。

走りには全く自信がなかったし、テニス部を選んだのは自然だった。


……もちろん、"彼"の正体を見つけるため。



「そっちはいいから、こっちを見なさいよ!」



今日もハイジャンを見ていると、凛ちゃんにほっぺを挟まれた。


目線の先には。

ちょうど、ダッシュの練習をしている耀くんがいた。



走り終わって。


苦しそうに顔を歪めながら、マネージャーさんに砂を投げていた。




……耀くんらしくないな。


タイム、悪かったのかな。


ハイジャンの彼も気になるのに、今日は無性に耀くんが気に掛かった。


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