きみに、好きと言える日まで。


母さんの話では、今日は当直だと言っていたのに。


白衣を脱いで俺の病室へ来るなんて妙だな……。



母さんから話を聞いているなら、今日こそはこの質問にきちんと答えてくれるだろう。



「……マジで俺、いつになったら退院出来んの?」



父さんにも何度となくぶつけていた質問を、いつものようにふっかけた。


それには答えず

親父は丸い椅子を引き摺り、またがる様にして座った。


同じ高さで目線が合う。



「今日はな、医者としてじゃなくて、耀太の父親として話にきたんだ」

「なんだよ……」



改まって言われ


平気だって思ってたのに、胸がざわつく。



ゴクリ。

喉の奥を鳴らす。




ハイジャンなんて。



俺から今更ハイジャンを取り上げたって……。



平気だ。

何を言われたって平気。


シーツを握りしめ、気持ちを奮い立たせた。





「良く聞けよ」


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