きみに、好きと言える日まで。
*第1章*
恋をした日
「わっ、もうこんな時間……」
時計を確認すると、もう夕方の6時だった。
空はすっかりオレンジ色。
部活に励む生徒たちも部室へ引き上げたみたいで、外は静か。
高校に入学して一週間。
まだ右も左も分からないあたしが、こんなに遅くまで学校に残っているのには、やるせない事情がある。
日直だったあたしは、担任に書庫の整理を頼まれて───
『ごめんね、俺、お腹が痛くなっちゃってさ』
そんなベタな嘘で、相方の男の子は逃亡した。
それを告げ口すら出来ずにお見舞いの言葉まで掛けたあたしは、お人よしっていうか、小心者っていうか。
『大丈夫?早く帰って休んでね…』
───埃っぽい部屋の中で、文句も言わずにひとりで作業してたんだ。