きみに、好きと言える日まで。
陸上
【耀太】
青い空。
白い雲。
立ち上る埃。
土の匂い。
夕陽に伸びる影……
その全てが俺を高揚させる。
───そんなグラウンドが、大好きだ。
「耀太。このままずっと短距離やっていく気?」
練習が終わった後の部室。
着替えている最中、拓弥が妙なことを言い出した。
「なんだよ急に」
汗でべたつく体。
タオルで一拭きした後、趣旨の分からない質問に疑問符を投げかけた。
「俺がいる限り、短距離でトップにはなれないぜ?」
冗談めかして笑った拓弥に、ほんの一瞬だけ真顔になる。