きみに、好きと言える日まで。


それ以上喋れなくなったあたしが連れて行かれたのは。


カンファレンスルームと書かれた部屋だった。




出されたお茶に手を付けることもできなくて、ただ泣いているだけのあたしの涙が少し乾いたころ。



「いつもお見舞いに来てくれているようで……ありがとう。

今日は、耀太が悪かったね……」



向かい合ったテーブルの上で、おじさんが手を組む。



あたしは力なく首を横に振った。



「それは……」



おじさんは、あたしが持っていたアルバムに気づいた。



「耀くんから頼まれていたんです。インターハイの写真を陸上部から借りてくるようにって。そしたら、これも要らないって……言われちゃって……」



それを机の上に置く。



「そう……」



おじさんは、それを手に取る。



中を見るでもなく、じっと何かを考え込むように、そのアルバムを眺めた後ゆっくりテーブルの上に戻した。

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