きみに、好きと言える日まで。
───…
"八神の背中には羽が生えている"
いつの頃からか、誰もがそう言い始めた。
陸上を始めたのは小学1年生の時。
学生時代に陸上をやっていた父さんに連れられて、高校の地区大会を見に行ったのがきっかけだった。
誰もが花型の短距離走に注目している最中、俺は違った。
フィールド内で行われていた、走り高跳びに目を奪われた。
ステップを踏むように助走し
フワリと宙を舞い、しなやかにバーに沿って湾曲を描く体。
空と真正面に対面し、綺麗にマットに沈みこむ。
そんな一連の動作が、
自分自身の気持ちいい所に突き刺さり
目が釘付けになる。
あんな風に跳べたら、どんなに気持ちがいいだろう……。
俺と走り高跳び……"ハイジャン"との出会いだった。