きみに、好きと言える日まで。

何気なく取っ手に手を掛けると



───カチャ……


鍵はかかっておらず、灰色の扉は簡単に開いた。



「あ……」



勝手に開けるのは良くないと思って、閉めようとしたけど。


見覚えのある耀くんの私物を目にして、手を戻せなかった。


雑誌とか、ジャージとか、スプレーとか。

なぜか物理の教科書まで。


そんなにきっちり整理もされてなくて、ほど良く雑然としていた。



性格がよく出てる……。


「ふふっ……」


思わず頬が緩む。


目線を徐々に下から上へ上げて、時間を共有するようにゆっくり耀くんを感じた。



「……え……」



ちょうどの目線の高さまで顔を上げた時。


目にしたものに、体が氷つく。




「……拓弥くん」



後ろにいるであろう拓弥くんに声を掛ける。


ロッカーを見つめたまま。

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