きみに、好きと言える日まで。


「───ッ」



開放された俺のロッカー。



その前で、まひがうずくまっていた。


スッと体が冷たくなる。



……まさか。


見られた……?



「どうした!?」

「あたし……あたしっ……」



拓弥の問いかけに、声を震わせながらうわごとのように何かを呟くまひ。



……気づかれ……た?




俺が、あの日何をしに学校へ寄ろうとしたのか。


絶対に知られてはいけない相手に。



やがてまひが立ち上がった。



俺はとっさに隣の部室へ逃げ込む。



その直後。


バタバタッ……。

部室を飛び出して走り去る足音が聞えた。



きっと、まひの足音だ。

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