きみに、好きと言える日まで。


「もしかして、今の見てたのか……?」



静かに拓弥が言葉を落とす。



「ああ………」



見てたとも。



見られてはいけないものを見られ

俺も

見てはいけない場面に遭遇した……。



まひの苦しそうな声が耳から離れない。

……つらそうな顔が、脳裏から消えない。



「羽鳥、耀太のロッカー見て震えてたぞ」



困惑した目と声。


そんなのはまひのだけで十分だったのに、拓弥の視線も痛いほどに突き刺さり、俺は目をそらした。



「なぁ……何を見たんだよ……」



ガンッ───


この位置からも見えた"ソレ"をわしづかみにして取り出すと、足で扉をぶち壊すように蹴り上げた。

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