きみに、好きと言える日まで。


「ちょっと、なんなのあの子」



そんなあたしの隣でブツブツ言うのは、ほんとなら耀くんの隣の席になっているはずの美雪ちゃん。


胸には、鞄と机の中身一式を抱えて。



「美雪ちゃんどうしたの?」

「あの子、いきなり席交換しろとか言ってきて。ま、彼女の席一番後ろだったし、なんかもうめんどくさいから交換しちゃったけど」



そう言って、美雪ちゃんは広瀬さんが昨日まで座っていた席についた。



耀くんも同じような笑顔で言葉を交わしてる。


ふたりは知り合いなの……?


"耀くん"


どうして親しげに呼ぶの……?



「まひろってばどこ行ってたのよ!」

「凛ちゃん……」

「あの転校生って、耀太の知り合いなのかな……」

「……わかんない……」



腕を組み、うなる凛ちゃんに答えるあたしは、気が気じゃなかった。







いつの間にか、


歯車はゆっくり違う道へと回転を始めていた。



もう、手を伸ばせば届く距離に、


耀くんはいないのですか……?



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