きみに、好きと言える日まで。
教室の中央で、凛ちゃんが瞬くんの頭をはたいていた。
「それにしても、ふたり絵になってるよなあ」
瞬くんは、指で作ったフレームからふたりを覗き込む。
ほんと。
瞬くんの言う通り。
お嬢様な広瀬さんと、体育会系の耀くん。
どこか不釣り合いに見えるのに、そこを一瞬で誰も寄せ付けない空気にしてしまうところとか。
悔しいけど……。
「あんたねぇっ、この間まで耀太とまひろのことお似合いだって言ってたでしょ?……っあ、まひろおはよ」
そのとき、あたしの存在に気付いた凛ちゃんが、何事もなかったように笑顔で近寄ってきた。
「おはよ」
うまく笑えてるか分からないけど、気にしてない風を装う。
そして、朝練を終えた拓弥くんも入って来て、
「拓弥!耀太と広瀬さんてなんなわけ!?」
凛ちゃんが、そのままもう一度廊下へ押し出す。
「いやあっ……その、知らねぇ……」
その顔を見てピンと来た。
嘘が下手だな。拓弥くんは。
拓弥くんは何かを知っているんだ。
やっぱりあのふたりは、特別な間柄なんだね……。