きみに、好きと言える日まで。


広瀬さんの体には、想像も出来ないような傷みたいなものがあった。


ここから見た限り、3センチほどの太い幅の線が、肩からブラの下あたりまで。


黒く、ミミズ腫れの、目を覆いたくなるような……。



「ごっ、ごめんなさい……」



見ちゃいけないものを見てしまったんじゃないかと、咄嗟に顔をそむけた。



「そんなにひどい?」

「え……?」

「見るに堪えられないほど、ひどかった?」



うずくまったまま、床に向かって言葉を落とす。


冷たいほどに冷静な声と、さっき見た光景がリンクされて言葉を失った。



「正直に言ってよ。ひどい?」



はっきり言って、この質問はきつかった。



だって、本当にひどかったから。


恐ろしいくらいに。


けど、正直に言えばきっと広瀬さんは傷つく。

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