きみに、好きと言える日まで。


「あの……なんの話?」

「随分仲がいいから知ってるのかと思ったけど、そうじゃないのね」



キッと睨むようにあたしを見る。



「よっ……耀くんが、……どうして?」



それに負けじと返す。

耀くんと広瀬さんの中を知るチャンスだから。


この際、突っこんで聞きたい。



「どうしてですって?」



制服のリボンまで結び終えた広瀬さんは、立ち上がってまっすぐにあたしをとらえた。


知らないの?と言う様に開かれた目は、直ぐに研ぎ澄まされた。



「夏の間、何度かあなたを見かけたわ。私ね、耀くんのすぐ近くの病室だったから」

「病室……」



何度も見かけたって……。

すぐ近くの病室だったって……。



……同情。

……責任。



「……っ」



まさか……。



「あたしの体、こんな風にしたのは彼なのよ?」

「…………」

「きっと、この同情は愛情に変わるって信じてるから」



………さっぱり分かんない。

同情だの、愛情だのって……。


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